人は地面を歩いている。
言い換えれば「地に足をつけて歩く」
全ての人の営みはここから始まっている。
「生きててくれよ!」そう叫んだ一人の政治家がいる。
れいわ新選組山本太郎氏だ。
この発言を耳にしたとき私は涙が頬をつたうのも忘れ、固く拳を握りしめていた。
「生きててくれよ!」と叫ばなければならぬほど、この世は生き辛くなっている。
なんとかしなければ!そう思った。
あれから何年が経っただろう。
その政治家の声は今も高らかに響いている。
だがそのチーム(政党)は、勢力を拡大するにつれ妙にテクニカルな冒険を散発。
一時的な耳目を集めることに成功してはいるけれど、どうやらそれだけである。
いや、太郎さんは炊き出しや様々なボランティア活動もやっているよ。そんな声が返ってきそうだ。
もちろん否定するものではない。むしろ称賛しているくらいだ。
だが、求めていることはそこではない。
政党として今なにが出来るか?
そして、なにから始められるか?
政権与党にでもなれたら強大な力を発揮し「生きる実感を遍く供給」してくれるのかもしれない。
ぜひ頑張ってほしい。
だが、待ってられるほど気長ではない。
たかはしいちろう氏は、どちらかと云うと「超弩級の維新タイプ」だったのかもしれない。
ゴリゴリの開発主義者としてその職責を果たしてきた猛者だ。
そんな彼が、件の山本太郎節に出会って「れいわ支持者」に転向した。
とは云うものの、リベラル系の人たちにありがちな「連帯」「団結」なんてものは彼の眼中にはない。
彼は一人で歩き始めた。
まるっきり一人である。
そしてそれを面白がる変わり者が少しずつ増えてきた感じだ。
とにかく彼は歩き廻る。
歩く歩く。
時間と身体が足らないくらいだ。
そして人と出会う。
時に罵られ、時に人の苦悩に出会った。
この地面の上に様々な「人生」が転がっていることを知った。
歩いていたら間に合わない。
彼は走り出した。
「いやいや。たかはしさん、歩けばいいじゃないですか。まずは家を大きくしましょうよw」
まさかの天の声である。
「走らせて下さい!」
「・・・・・・」
此処に居ると走らせてもらえないことが分かった。
同じ方向を向いているというのに‥。
そして決断した。
航海の途中で港に引き返したこの船は、艤装を新たにし、再出港する。
私はこの船出を心より祝福する。